「山田轟法律事務所」が楽しみ

弁護士の兼平史です。これから時々ブログを書こうと思いますが、役に立つ情報をお伝えするものでありません。(すごく)お時間のある方のみ、ご覧いただければ幸いです。

先日、脚本家・小説家の吉田恵里香さんの情熱大陸を見ました(2025年11月23日放送分)。2024年4月~9月に放送された朝ドラ「虎に翼」の脚本家です。「虎に翼」は日本初の女性弁護士となった三人のうちの一人、三淵嘉子さんをモデルとするヒロイン寅子(トラちゃん)の物語です。

「虎に翼」によく出てくる言葉に、「スン」がありました。

決して本意ではないけれども、黙って口角を上げておいた方が丸く収まる、このような場面で、急に控えめになって無口になる様子のことを、「スン」と表現しています。ドラマは戦前から戦後にかけての昭和の時代を描いています。しかし、この「スン」をしてしまうことは、令和を生きる私たちも、身に覚えのない方はほとんどいないのではないでしょうか。理不尽な状況に耐えている、言いたいことがあるけれども飲み込んでいる、意に反するけれども、空気を読んで、忖度して。「スン」とならざるを得ない、なり続けている人たち、たくさんいると思います。

「虎に翼」によく出てくる言葉がもう一つありました。「はて?」です。

意に反する状況は、声に出し、行動に移すことで、変えられることもあります。トラちゃんは、「これはおかしいんじゃないか」と思ったときには「はて?」と声に出し、自分の考えを口にして、周りの空気を変えていきます。トラちゃんのように的確な言葉を選んで人を説得するのは、実際はとても難しいことですが、「はて?」と口に出してみることなら、誰にでもできそうです。私もトラちゃんに背中を押されて、「スン」をやめ、「はて?」を言ってみようと思ったことを、情熱大陸を見て思い出しました。

「虎に翼」のスピンオフドラマとして2026年3月に「山田轟法律事務所」が放送されるそうです。「轟山田」ではなく「山田轟」としているところにも、脚本家の意図を感じます。放送が今からとても楽しみです。